『エンジニア』として生きる

紆余曲折を乗り越えた『エンジニア』がブログをはじめました。

転職を考えるあなたへ

はじめに

先日、昔の部下から転職相談の連絡が来た。
私の取材記事を見つけて、連絡してきてくれたらしい。
今にして思えば、彼の上司であった当時の私は自身の知識不足・力不足が明らかで、彼に対して何の環境を用意してあげることも、支える事も出来なかった。
結果として、会社を去る選択をさせてしまった。
なんというか、苦い失敗として残っていたので、連絡があり嬉しく思いつつ、「今度こそは!」という思いもあった。
その話をきっかけに記事を書いてみようと思った。

なぜ書くのか

自分の知識不足・力不足で当時何もしてあげられなかった分を取り返すように、時間をかけて自分の考えや意見をしっかり伝えた。
さらに話を聞く中で、良くない考え方や偏った考え方と思うことは、率直に伝えた。
その結果、晴れやかな声で思いが聞けたこと、そして、あの時、しっかり関われなかった自分自身の禊が済んだような感覚があった。
その出来事に満足して終わるだけではもったいなく感じ、その話した内容を振り返ってみた。
そこで気付いたのは、彼に伝えた考えや意見、アドバイスは、自分の仕事感と密接に関わっているのでは?と思ったので、受け答えを一般化してダンプしようと思った。

何を書くか

彼には、転職をしたいと思ったときにしっかり立ち止まって考えてほしいことを話した。
その中から一部を一般化して、自分自身の仕事やキャリアに対する考え方についてをまとめてみる。

転職は一つの手段

転職は、

  • 新しい挑戦
  • 自己実現
  • 収入アップ
  • 辛い現状からの避難
  • ・・・etc

など、何かを手に入れるための一つの手段にすぎないと思っている。
目的と手段をしっかり見定めて、何のために転職という手段を取るのか?を考えてほしい。

私のスタンス「転職自体は肯定も否定もしない」

まず初めに伝えたのは、転職という手段について、私は肯定も否定もしないということ。
あなたのキャリア・人生は、あなたが責任を持って選択をするべきだし、その選択の結果がどのようになっても、あなた自身が受け止めてあげてほしい。
それでも、何回も転職を経験した身として、人事や採用面接の担当者の経験を多く積んでいる身として、経験談や考え方は伝えたいと思う。

「営業も上司も現場のエンジニアのこと何も理解してくれない」

転職の動機として、よくあるきっかけのひとつ。
でも、過去の経験的に本当に理解してもらえない環境にいた人って半分程度の印象。

  • 現場のことを伝えていましたか?
    • 人と人は対話無しに理解し合えない。
      • 気付いてほしい。気にかけてほしい。そんな受け身では多くの場合理解してもらえない。
      • 話をするために正しく対話する機会を作らなければいけない。
    • 話した伝えたは違う。
      • 相手が認識して、理解して、はじめて伝えたことになる。
      • 理解してくれるまで、しっかり伝えたと言い切れるか?
    • 同じ意見でも、言葉選び話し方タイミングで伝わり方が違う。
      • ただの愚痴と取られるような言葉選びになっていないか?
      • 建設的な意見として話せているか?
      • 相手が意見を受け止められるタイミングを選べていたか?
      • 正しい伝え方で伝えたと言い切れるか?
  • 現場の課題は、他の視点から見ても優先的に解決すべき課題でしたか?
    • 異なる職種や立場には、異なる論理が存在する。
      • 異なる視点を理解せず、身の回りだけを優遇するように要望してませんか?

「もっと裁量のある環境で働きたい」

こちらも、よくある転職理由。
ただ、自身で掘り下げて考えてみることをおすすめする。

もとめる裁量は具体的にどういうことですか?

例えば、もっと自由に提案をできるようにしたいという場合、現状では何故それができないのか?を考えてみると良いと思う。
転職をするにしても、そこに気づき対策が打てるようにならないと、同じことを繰り返してしまう。

  • そもそも提案できる会議に呼ばれない。
    SESとしてのチーム参画で会議は社員だけといった場合や、自社でも若手は会議に出られない環境は現実問題としてある。
    本気で提案したいなら、喫煙所や酒の席、ランチの場など手段を選ばずにやりようはある。
    必ず通したいという熱い思いがあるのであれば、真っ向勝負ではない手段も考えたほうがよい。
    一つの作戦として、意思決定者の上や横の関係の人との関係を作るという手もあったりする。
  • 提案が受け入れられない。
    受け入れられない理由のフィードバックを得られるかで変わってくる。
    おそらく、理由は大別すると大体3つのいずれかだと思うが、理由が分かることで対策が打ちやすくなる。
    (もちろん、対策の一つとして転職という行動もある。)
    • そもそも提案の内容が良くない
      • どこが良くないのかを考え、提案内容を練り直す。
    • 提案はよいものだが、実践できない理由がある
      • 良い提案を実践できない理由は、チームが抱える課題。
      • その課題を解決することで、提案も通るし、信頼も得られるし一石二鳥。
    • あなたの提案だから、受け入れられない
      • あなた自身の普段の行動や成果に課題があるか、提案先の相手が好き嫌いの感情で判断をするという残念なパターン。
      • どちらなのかを見極め対策が必要で、後者の場合は真っ向勝負は避ける作戦を練り直したほうが良い。
  • 技術や方針の決定に関われない
    例えば、もっと新しい技術を取り入れたいと思った場合、その技術で何が出来るか、何が得られるかを意思決定者の目線で説明出来ていますか?
    その提案がてきなければ、多くの場合で決定権を持ったとしてもチームに説明ができないことが予想されます。
    時に「ただやってみたいから」という熱い思いでの提案も大切ですが、権限と責任はセットで存在します。
    責任感をもって取り組むことをセットで権限を取りに行く方法が良いと思います。

「もっと収入をアップしたい」

短期的に見て手っ取り早く収入をアップするには、私が知る限り転職がベターです。
給与という評価は個人のスキルで絶対的につくものではなくて、企業が抱える課題の解決手段と個人の持つスキルのマッチ度で相対的につくものだから。
ただ、収入アップが目的だとしても、中長期的に見た場合で転職という選択が必ずしも最善とは限らない。
自社の評価制度や、先輩や上司の話を聞きながら冷静にジャッジした方が良い。
転職時に給与は一気に上るが、入社後の昇給はほぼないという会社も結構あったりする。

「技術的に尊敬できる人が社内にいない」

私は、必ずしも技術的に尊敬できる人が社内にいる必要はないと思っている。
外部のコミュニティであったり、SNSであったりで確保することも一つの方法だと考えている。
あなたが、社内にそのような存在を求めるとき、あなたの描くキャリアパスによって選ぶ方法が変わる。

  • 将来的に新規事業を立ち上げたり、マネジメントや経営に関わりたい
    • 技術的な領域は一度横に置き、その中で技術的な分野以外で尊敬できる人を見つける。
    • セールスや事業責任者、経営層との距離を縮め、先に学べるものを学ぶ。
  • ずっと/当面、技術を一定以上まで習得したい/極め続けたい
    • 尊敬できる人を採用できるように働きかける。
    • 採用ではなくても接点を作れる働きかけをする。
      • 業務委託や外部から顧問としての招聘など

一番伝えたかったこと

あなたが精神的や肉体的に追い詰められていているのであれば、一切何も考えずに転職(まず退職)をするべきだと思う。
自身の健康や幸せ以上に大切にすべき仕事は、世の中にそうはない。

もし今、あなたがそこまで追い詰められていないのであれば、今いる環境でやりきったと思える状態での転職をおすすめする。
転職はポジティブな考えでやった方がうまくいく。
これは、自分の経験からもそうだし、周りの転職成功者を見ていても思う。
気持ちや体力に余裕があって、転職をぼんやり考えている状態であれば、やりきったと思える状態まで考えて行動してみてほしい。
転職したとしても、しなかったとしても、やりきろうと取り組んだその考えや行動は、必ずキャリアでの財産になると思うから。

おわりに

彼からの相談は、初回に通話で1時間程度、その後1日に数ターンのLINEで1週間くらいになった。
転職相談の最後は通話だった。
元気な声で相談してよかったと言ってもらえて、罪滅ぼしが出来た気持ちでいっぱいになった。
コロナが落ち着いたら、じっくり飲みに行きたいな〜と話して、転職相談は終わった。

その後、この記事を書こうと思ってから、1週間くらいかかっている。
少しづつLINEを見返したり、会話を思い出しながら書き留めた。
そして、あくまで私の考えであるという前提で、誰かの考えを否定しないような表現になるよう気をつけた。

たまたまこの記事を読んだ転職を検討中の人や、仕事でなんとなくのモヤモヤを抱えている人の気付きの一つになったら、とてもうれしく思う。

参考:当時、彼が私に抱いていた思いを聞いてみた。

忖度なしで答えますという前置きで聞けた思い。

  • ガムシャラ過ぎて彼との温度差があった
  • クールっぽく振る舞うけど、ちょいちょい松岡(修造)って空回ってた
  • いつも、教科書どおりの答えで、私の言葉は聞けなかった
  • DB設計の話だけは、経験談私の言葉があって参考になった。
参考:彼が出した結論
  • 転職自体は、ポジティブな意味でもしたいと考えているので、情報収集やカジュアル面談は継続する。
  • ただ、現職でやりきっていると胸を張って言えないと気付いたので、まずは年内は考えて行動してみる。